横浜合唱協会から委嘱をいただき、
アフガニスタンで長年医療活動をされていた中村哲医師を
テーマとした混声合唱作品を書きました。
タイトルは、「Dona nobis pacem-Water, not weapons」です。
ご存知の方も多いと思いますが、中村哲医師は昨年12月、
アフガニスタン東部で銃撃され、亡くなりました。
医師にもかかわらず、井戸を堀り、用水路建設に取り組んだ中村医師。
幾度となく困難に見舞われ、想像を絶する過酷な状況の中、
現地の人々に寄り添い、強いリーダーシップで
枯れ果てた大地を奇跡的に美しい田畑へと
生まれ変わらせました。
3度の食事が摂れること、
家族一緒に故郷で暮らせること、
そのための仕事があれば、武器なんか必要ない。
それが平和への道だという中村医師の信念、そして挑戦を
この作品で音にしました。
委嘱をいただいた際、テキストは「Dona nobis pacem」であること、
日本民謡をモティーフとして使用することの2つを
ご希望としてお伺いしました。
まずテキストは、
聖書の詩篇23篇2節
「主は私を緑の牧場に伏させ、いこいの水のほとりに伴われます。」
という箇所もラテン語で用いて、用水路に水が流れる様子を表現しています。
そして、日本民謡のモティーフは、
宮崎県高千穂地方の民謡「正調刈干切唄」を選びました。
用水路に水が通り、美しい田畑へと変貌を遂げた大地は、
穏やかで、色に溢れ、どこか日本の田園風景と重なりました。
また、中村哲さんは九州にルーツがあること、
そして山に囲まれた地形が似ていることも理由です。
コロナの影響が依然としてありますが、
横浜合唱協会のみなさまは、指揮者の柳嶋耕太さんの指導のもと、
オンラインで工夫しながら練習してくださっています。
初演される際は、ぜひ聴いていただきたいです!
中村哲医師の著作もたくさん出版されています。
世界が混乱している今、
決して諦めず、使命に忠実であろうとする生き方は
勇気をもらえるはずです。読んでみてくださいね!
2 Comments
「刈り干し切り歌」の事に目が留まりました。私は高千穂辺りで生まれ育った者なので、この歌はおなじみでした。
数年前から、飲み会の二次会でのカラオケでは、ゴダイゴの「ガンダーラ」のメロディーに、「刈干し切り歌」の歌詞を充てて歌うのを楽しんでおりました。曲と歌詞が上手く合うので歌いやすいし、内陸性の土地の気候風土も、似ている様なイメージが面白かったからです。この組み合わせ、けっこう行けるのでは?お勧めしたいな。と今でも思っています。
そんなたしなみを続けていた私には、中村哲さんの死去のニュースは衝撃でした。あの地は、まさに「ガンダーラ」だったからです。
それから、しばらくたってから、私はふと思う様になった事があります。それは「中村さんを偲んで、ガンダーラを合唱しよう。福岡から、そして全国各地から、祈りをささげよう。」そんな風になったら良いだろう。という事です。どなたか、そういう呼びかけをして頂きたい。そう思っております。
コロナに屈し
リモートレッスン出来ず
しかし
練習を重ねた曲の仕上がりを聴きたくて
会場に足を運びます。
難しかった曲の仕上がりを
本当に楽しみにしています。