今年も振り返れば、常に作曲のことが頭にありました。
変化の大きいこの2年。今書きたい曲、書くべき曲とはなんだろうと
模索していたのが春頃。
委嘱された男声合唱曲のテーマを決めるのに、多分数ヶ月はかかったと思う。
国会図書館に通って文献を探したり、音源を聞いたりして、
最終的に、日本に渡ってきた民族の歯形のDNAの論文を印刷していて、
はっ!と我に返りました。笑
いろいろ興味は尽きないのですが、以前から取材をしていて、
いつか曲にしてみたいと思っていた、奄美のお祭りを合唱曲にすることに。
毎度思うのですが、今回が一番難しかった・・・
楽譜を再現してもらうのではなく、歌う人たち、聴く人たちが
その場を一緒に作る空間を紙に書くって何?笑
かといって意図が伝わらなければ、主体性を持って演奏はできないし、
その狭間で葛藤。
実際どんなことになるのか、相当楽しみです!!
初演は少し先になりそうですが、是非たくさんの方に聞いていただきたいです。
その男声合唱が完成したあとは、
鯨井謙太郒さんの新作「霊眼 How do humans see object ?」の音楽制作。
「美術作品としての身体」がテーマで、ダンスとは違う身体の在り方を模索する取り組み。
浮世絵や刺青といったイメージをもとに、今回初めてご一緒する平井さん、
CORVUSの公演「喉」で、PV制作をご一緒した野本さんとも
話し合いながら創っていきました。
たくさんの選択肢から、絞って絞って、最後は
「メロディーもいらない。表現もいらない。」by 鯨井さん
ということで、本当に必要な音と、静寂によってその場を彩る音楽に
行き着きました。
なかなかのスリルでしたが、本番は自分にとっても新しい体験。
ヨーロッパの現代美術館みたい。
鯨井さんとのご縁もいろいろと広がって、
いつも楽しいことになっています。一般的には、これ弾いて、とかこういう風に作って
とか型が決まっていることが多いのかな?と思うのですが、
鯨井作品の場合、常に「どう思う?」と周囲に問いながら、
結果最初の想定と全然違うことになるのが面白いところだと思います。
完成形を決めて、そこに向かった方が楽だし、安全なので。
それをしないところ、そして相手を聞く、という姿勢に学びが多いです。
さて、そのあとは、pneumaで歌うために「The Rose」の編曲を。
2日くらいで、できたじゃーん!と思ったけど、なんかざわめく・・・
そのあと2週間くらい考えて、休符の長さとか、和音の広がり方とか、
修正しながら完成しました。
pneumaは大体いつもですが、1人1パートで収録。
今のみんなの思いが詰まった演奏なので、ぜひ聴いていただきたいです。
延期になっていた新作の初演も決定しています。
横浜合唱協会委嘱作品「Dona nobis pacem – Water, not weapons」が
5月21日(土)に第一生命ホールで演奏される予定です。
アフガニスタンで用水路建設に尽力された、中村哲医師をテーマとした作品。
アフガニスタンや日本の民謡がモティーフになっています。
先日、リハーサルにお邪魔して、曲に熱い思いを寄せてくださっていることを実感しました。
他にバッハも演奏されるそうですよ!みなさま、ぜひ足を運んでみてください。
http://ycs.gr.jp/concert/